本日のTopic
「くさつFarmers’ Market」で初めての記事が公開された
先日から構成づくりやインタビュー、原稿の推敲を進めていた記事が、ようやく公開された。
掲載先は「くさつFarmers’ Market」という滋賀県内のファーマーズマーケットのオウンドメディア。
今回公開された記事はこちら。
このメディアでは、各出店者の現場に記者が足を運び、話を聞きながら記事にまとめていくスタイルをとっている。
生産の背景や、マーケットに立つ人のストーリーを言葉にして届ける、という役割だ。
新規就農一年目の私が、そこで「記者」として名前を出して記事を書いている。
少し不思議な感覚だが、ようやくスタートラインに立てたような気持ちもある。
なぜ農業のかたわらで記者活動をしているのか
自分のValueを最大化する
そもそもの出発点は、「自分が生み出せるValue(価値)をどう最大化するか」という問いである。
これは就農前からずっと考えているテーマだ。
新規就農者として、畑から直接生み出せるValueにはどうしても限界がある。
- 品質は、一年目からいきなりトップクラスというわけにはいかない
- 作業効率も悪く、大量に作って大量に届けることもできない
- 設備もノウハウも、まだ整備途上
一方で、前職のコンサルティング会社で培ってきたスキルは別の性質を持っている。
- 論点設定
- 仮説構築
- 課題・問題の特定
- 分析
- アウトプット作成(構成・文章化・スライド化)
これらは、まさに「話を聞き、情報を整理し、読み手に届く形にまとめる」記者の仕事と相性がいい。
農業そのものではまだ大きなValueを出せないフェーズでも、記者活動であれば今の自分のスキルセットで貢献できる余地がある。
生産と記者活動。
この二つを組み合わせることで、トータルとしてのValueを高めていくことができるかもしれない。
記者の仕事に辿り着くまで
実績ゼロからのスタート
新規就農にあたって、「いつか農業×メディア(特に記者活動)もやりたい」という構想はぼんやりと持っていた。
しかし現実としては、
- 農業の実績なし
- メディアの実績もなし
という「ないない尽くし」からのスタートだった。
最低でもどちらか一方の実績がないと話にならない。
コンサルでの経験は、メディア側の仕事にも活きるとは思っていたが、「実績として堂々と出せるか」と言われると、それは傲慢なな話である。
少なくとも、農業かメディアか、どちらか一方の実績は要る。
農業側の実績を積むには時間がかかる。
であれば、先にメディア側で経験を積んでおく方が現実的だと考えた。
クラウドワークスでの下積みライター時代
そこで、クラウドワークスでライター案件を探し始めた。
ジャンルは農業とはまったく無関係。
文字単価は1文字0.5〜1円と、いわゆる「安いライター案件」である。
- とにかく受注してみる
- 指定の構成に沿って書く
- 修正依頼に対応する
- 納期を守る
この単純作業の繰り返しで、10本近く記事を書いた。
正直なところ、ものすごく時間がかかったわりに、トータルの報酬は5万円にも満たない。
効率だけで見れば赤字に近いような下積みである。
それでも、
- 自分の名前は出ないにせよ「納品物」としての文章を書く訓練
- クライアントワークとしてのコミュニケーション
- 限られた条件の中でアウトプットを出す感覚
こうした経験は、後から振り返ると意味があったと思っている。
「農業はこれからだが、記事は書けます」
そんな折、「くさつFarmers’ Market」の記者募集の案内を見つけた。
県内でも存在感のあるファーマーズマーケットが、出店者を取材する記者を募集している。
- 農業の実績は、これから積んでいく段階
- ただし、記事を書く経験は少しずつ積んできた
ということで、
農業の実績はこれからですが、記事は書けます!!
とアピールし、書類選考と面接を経て、ありがたいことに採用をいただいた。
ここで初めて、「記者」という肩書きを、ほんの少しだけ名乗れるようになった感覚がある。
記者活動をやってみてよかったこと
他の農家の現場から学べる
いちばん大きいのは、他の農家の話をじっくり聞けることだ。
しかも単なる雑談ではなく、「PRになる記事」という形で相手にもきちんとValueを返せる関係性で話を聞ける。
- 生産の工夫
- 売り方の工夫
- その人がここに至るまでのストーリー
こうした話をWIN-WINの関係で聞かせてもらえるのは、本当に大きい。
提供しているValueと釣り合っているかどうかは別として、少なくとも「学びっぱなし」にならない構造になっているのが気に入っている。
つながりが増える、出店の足掛かりにもなる
ファーマーズマーケットという場には、農家だけでなく、加工業者や飲食店、運営側の人たちも集まってくる。
記者として関わることで、こうした人たちとのつながりが増えていく。
- 「あのとき記事を書いてくれた人」という覚えられ方
- イベントやマルシェへの出店相談をする際のきっかけ
- 将来的なコラボレーションのタネ
生産者として単独で営業するのとは違う、別の入り口にもなるかもしれない。
名刺代わりとしての「くさつFarmers’ Market記者」
「くさつFarmers’ Market」は、滋賀県内ではかなり認知度の高いマーケットである。
そこで記者をしている、というひと言は、ちょっとした名刺代わりにもなる。
新規就農者というだけだと、「この人は大丈夫なのか?」と身構えられてもおかしくない。
そこに、
- 県内有数のマーケットで記事を書いている
- 運営側とも一定の信頼関係がある
という情報が乗ることで、最初の心理的なハードルが少し下がる実感がある。
怪しい新規就農者扱いになりにくい、という効果は地味に大きい。
これからの記者活動との付き合い方
本業はあくまで「生産と販売」である。
畑を回し、定期便をきちんと届けることが、いちばん優先度の高い仕事だ。
そのうえで、
- すべての時間を畑仕事だけに振り切るのではなく
- 自分のスキルセットが活きる場所としての記者活動も細く長く続ける
というバランスをとっていきたい。
記事を通じて他の農家のことを伝えながら、同時に自分自身の視野や言葉も広げていく。
生産者であり、書き手でもある、というスタイルをどう成熟させていけるか。
この先の楽しみのひとつである。


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