【脱サラ就農に役立つ!】超高収益有機農場の就農1年目の失敗と教訓

新規就農

Neversink Farmは、ニューヨーク州キャッツキル山地に位置する約0.6haの有機農場で、単位面積あたりの生産性と収益性が全米トップクラスの農場として広く知られています。

具体的な数値としては約0.6haの農地で年間約40万ドル(約6,000万円※1USD=150円換算)の収益を上げており、反収(10アールあたりの収益)約1,000万円に相当します。

しかしながら、そのNeversink Farmの就農1年目は失敗と教訓に満ちたものだったと、農場長のConor Crickmore(コナー・クリックモア)は語ります。この記事では、Nerversink Farmの1年目の失敗と教訓として語られる以下の3点を深堀します。

  • 小規模で始めることの重要性:規模を大きくするよりも、管理可能な範囲で効率的に収益を上げる
  • 市場ニーズに合った作物の選定:地元の需要に合った作物を育て、収益を最大化する
  • 適切な収穫・管理技術の習得:収穫や保管の正しい方法を学び、生産性と品質を維持する

小規模で始めることの重要性

私たちは「もっとたくさん育てないと生活できない」という考えに囚われていました。
もしもう一度やり直せるなら、初年度は畑を半分の広さ、つまり0.25エーカー(約0.1ha)以下にして、1平方フィートごとに集中して取り組みます。

経験が浅い時、規模を大きくすれば収穫量が減る

Neversink Farmの1年目の失敗の一つは、経験が浅い段階で規模を拡大しすぎたことでした。コナー氏は、「畑の一部が手に負えなくなり、もう遅いと思う頃には手遅れになってしまいます」と語り、大規模化による管理の難しさを振り返っています。特に、作業が遅れると畑全体に混乱が生じ、「何をすべきかわからなくなる」という状態に陥るそうです。

Biwako
Biwako

私も最近作業が追い付かなくなって種まきのタイミングを逃したばかり…😢

雑草の管理が追いつかなくなるのも、初年度の失敗を象徴する問題でした。広い面積を一度に管理するには相当の経験や労力が必要で、未熟な段階ではかえって雑草の繁殖を招き、生育に悪影響を及ぼしました。この結果、畑の一部を見切り、作物の生産性を犠牲にするという選択をせざるを得なかったとのことです。

農業は規模を拡大するほど収益が上がるように思われがちですが、特に初期段階では逆効果になる場合があります。効率的な管理ができない範囲での作付けは、むしろコストや労力を増やすだけで、収益性を損ないます。この経験は、まずは管理可能な範囲で始めることの重要性を改めて教えてくれます。

収益は1㎡あたりの収穫量を最大化することで生まれる

Neversink Farmでは、畑全体の広さよりも、1平方メートル(または1平方フィート)あたりの収穫量を最大化することが成功の鍵であると考えています。コナー氏は、「収益は何百平方メートルを耕すことから生まれるのではなく、1平方フィートごとの生産性を高めることから生まれる」と語っています。

Biwako
Biwako

現在のNeversink Farmの圃場は驚くほど無駄がないよ😲

これは、限られた面積を最大限に活用するための作業計画や栽培技術に重点を置くべきだという示唆です。畝を真っ直ぐに整え、無駄なスペースを作らないことで、収益性を高められるとされています。この方法は、特に小規模農業を営む農家にとって参考になるでしょう。

市場ニーズに合った作物の選定

人々が欲しがらないものを育てて、それを食べてもらおうと説得するのは無駄でした

12月に美しいカタログを見て、興味本位で面白そうな種をたくさん注文してしまうことがあります。でも、本当に人気があるものだけに絞って、それに集中する方が良いのです

人々に人気のあるものを育てる

Neversink Farmでは、市場での需要を無視して作物を選ぶことのリスクを痛感しました。「人々が欲しがらないものを育て、それを食べてもらおうと説得するのは無駄でした」というコナー氏の言葉が示すように、作物選びは市場調査が鍵です。

例えば、ニューヨークではケールが人気がある一方で、コラードグリーンはあまり需要がありません。初年度にそのような需要を見誤り、不人気な作物を育ててしまったことで収益を上げる機会を逃してしまったとコナー氏は振り返ります。この教訓は、地元の嗜好やトレンドを理解することの重要性を改めて教えてくれます。

Biwako
Biwako

ついついオシャレなイタリア野などをつくりたくなりますよね😓

適切な収穫・管理技術の習得

適切な収穫方法を知っていれば、数千ドルの収益を逃さずに済んだはずです

人気ある野菜を届けるための正しい収穫方法・出荷方法を理解する

コナー氏が初年度に学んだ重要な教訓の一つは、適切な収穫・管理技術を身につけることでした。例えば、トマトを完全に赤くなってから収穫するのではなく、少し色づき始めた段階で収穫し、熟成させる方法を知っていれば、収益を数千ドル単位で増やせたと述べています。

また、レタスの出荷においても初期には問題がありました。美しいレタスを少量ずつ並べて出荷しようとしていたため、すぐにしおれてしまい、大きな損失を被りました。しかし、大量に積み上げて鮮度を保つ方法を採用することで、この課題を克服したそうです。

こうした例から、農産物を市場に適切な状態で届ける技術や知識を持つことが、収益向上に直結することがわかります。初心者であればあるほど、この知識の欠如が大きな壁となるため、早期に学ぶことが重要です。

たとえ収入の不安があっても小さく始めて1㎡に集中しよう

Neversink Farm の1年目の失敗と教訓は、来年(2025年)に本格的な1年目を迎えようとしている私にぐさりと刺さるものばかりでした。

1haくらいならいいけるかも…?という甘いささやき

私は現在は300㎡ほどの小規模な圃場で試験的にスタートしていますが、「ひと畝でこれだけしか野菜が取れないのか…現在の会社員の収入を超えるためにはどれだけの圃場が必要なんだ?」と計算して焦りを覚えることもあります。地域の農業法人の方も「3haくらい手が回ってない土地があるから貸してあげるよ」と親切に声をかけてくださることもあり、「1haくらい頑張ってみようかな….」と思ったりもしていました。

しかしながら、全米トップクラスの収益性を誇るコナー氏が「もしやり直せるなら」と語るのは0.1ha以下。いかに自身の見通しが甘いかを痛感させられます。

“人気のポテンシャルはあるが市場に出回らない野菜”の扱いをどうするか

コナー氏の主張する「人々に人気のあるものを育てる」は極めて納得できる考え方です。
ただただマニアックなカラフル野菜を育てても収益性が上がらないのは火を見るより明らかです。

一方で、世の中には”人気のポテンシャルはあるが市場に出回らない野菜”がありますよね。梱包や流通や陳列の都合でスーパーには並ばない野菜たちです。

Biwako
Biwako

例えばカブの葉なんかは、日本人は大好きな味だけどスーパーには並ばない。
これは「人気がない」ということになるのだろうか…

こうした野菜は「人気がない」と言うべきなのか。はたまた、
卸・物流・小売関係者には人気がないが、消費者には人気がある、ととらえるべきなのか。
この点は、さらにNeversink Farmの研究を通して深堀していきたいと思います。

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